千住と千壽と石洞美術館
2014年11月28日(金)

第38回 あだちアートリンクカフェ

ゲストスピーカー 林克彦氏(石洞美術館学芸員)

2006年に足立区で初めて開設された美術館、石洞美術館の学芸員、林克彦さんをゲストスピーカーにお招きしました。参加者の方々は石洞美術館を訪れたことのある方、ない方、存在も知らなかった方など様々。少しでも石洞美術館のファンになってもらえるようお話したいと、林さんは冒頭でおっしゃいました。
石洞美術館は公益財団法人美術工芸振興佐藤基金によって運営されています。その名前は、財団の母体である千住金属工業株式会社の当時の取締役、佐藤千壽(せんじゅ)氏の雅号「石洞山人」から来ています。
公益財団法人美術工芸振興佐藤基金は1979年、工芸を通じた国際間の文化交流の促進を趣意として設立され、当初は留学生に対する奨学金制度に力を入れていました。また、1983年には45歳以下の若手の金工作家を奨励する賞「淡水翁賞」を創設し、金工作品に特化した珍しい賞として現在も続いています。そして財団設立から23年経った2006年、千住金属工業株式会社の本社ビル建設に併せて、佐藤千壽氏のコレクションを核とした石洞美術館を開設しました。
佐藤千壽氏は十代の頃に「高麗青磁」を購入したことをきっかけにコレクションを始め、90歳で逝去するまでの約70年もの間、釜師や銅版画家、陶磁研究者や陶芸家など、様々な文化人と交流を持ちながら、陶磁、漆工、金工、宗教美術、絵画など約1500点を蒐集(しゅうしゅう)しました。そんな佐藤千壽氏が「美術館を作りたいので学芸員が欲しい」ということで縁あったのが林さん。2001年に千住金属工業株式会社に入社する前は大学で助手をしていたという林さんは、2006年に石洞美術館ができるまでの約5年間は学芸活動がほとんどなく、千住金属工業株式会社の仕事を手伝いながら、生前の佐藤千壽氏の秘書のようなことをしていたそうです。そして、千住は松尾芭蕉が「奥の細道」へ出発した土地であり、多くの文化人が参加した「千住の酒合戦」が行われるなど、文化の交差点だった。また、「美術館は、文化の十字路、異文化理解の装置である」という、大原美術館長・高階秀爾氏の言葉を引用し、千住に美術館があることは有意義だと話していました。
多くの人々との出会いによってもたらされた佐藤千壽氏のコレクションが見られる石洞美術館。施設設備や展示物の見せ方へのこだわりも伺い、参加者の皆さんの石洞美術館への興味が高まった回になりました。

1128_アートリンクカフェ①
ゲストスピーカーの林克彦氏
1128_アートリンクカフェ②
皆さん石洞美術館のお話に興味津々です
1128_アートリンクカフェ③
12月14日まで開催していた
「初期伊万里展」と美術館のリーフレット
1128_アートリンクカフェ④
石洞美術館に訪れたことのある参加者の方から
焼き物について質問が